「今こそ、全社One Teamで動いていこう！」
社長の力強い掛け声が響き渡る会議室で
皆の表情は一様に冴えない。

「本当にOne が必要なんでしょうか？」
静寂を破って投げられた問いに、場の空気が固まる。
当たり前のようで誰も聞けなかったこと。

沈黙の後、社長は静かに語り始めた。
倒産寸前まで追い込まれた危機と、一致団結して立て直してきた歴史。
その熱い想いが、会議室中に伝わっていく。

皆が口を開き始める。

斜に構えた急進派の中堅が語る、最先端のベンチャーで目の当たりにした新しさへのこだわり。
寡黙な保守派のベテランが語る、地域のインフラを地道に支え続けることへのプライド。

・

「俺たち、素晴らしいほどバラバラだな」
社長がそう言って笑うと、皆もつられて思わず笑った。
違いに気づき、互いの価値を改めて認め合う空気が生まれていた。
この対話から生まれた変化は、この会社の変革の原型となっていった。

One Teamのスローガンなどなくとも、
今この瞬間の会話から、想像もしない未来が始まっているのだ。